エンジニア風味 (Engineer-taste)

電子系エンジニアのメモ帳

特許は自分で書くもんじゃないの?

まず、お約束で書いておきますが、以下の内容は私個人の意見であり、所属する機関とは関係ないものです。

Chem-Stationを見ていたら、論文と特許の比較についての記事がありました。
www.chem-station.com

概ね、そのとおりだと思ったのですが、
「論文は自分で書き、特許は弁理士中心に明細書を作成する」
というところがひっかかりました。

まず、特許を出願できる人は、法律で決まっており、
 1)発明者本人
 2)弁理士
のどちらかとなります。業として報酬を受け取って行わなければ弁理士でなくともよいようですが、報酬なしで代理人が行なうことはないだろうから、本人でない場合は弁理士でしょう。
弁理士に出願を代行依頼する場合には、相応の報酬が必要となります。

弁理士は特許をはじめとする知的財産に関するエキスパートです。ですが、やはり技術分野の専門がありますので、得手不得手は仕方がないかと思います(法改正などが多いので勉強は常にされているようですが)。
それと、弁理士は「権利化に関するエキスパート」ですが、必ずしも創意工夫に長けているわけではありません(弁理士であり、理博という人もいたりしますが)。
その辺があって、「ポイントだけ指示して、あとはお願い」というようにしてしまうと、「こんなはずではなかった」と後悔するような明細書案が上がってくる可能性は高いと言えます(工学的な内容を以心伝心でなんとかするのは無理だし、ましてや弁理士に付加価値をつけさせるのは無理筋では?)。

自分は明細書を全て自力で書きあげて(弁理士には修整だけ入れてもらう)出願したことも、内容と図面を弁理士に渡して明細書を作成してもらったことも、どちらもあります。
ですが、後者の「弁理士に明細書を作成してもらう場合」でも、図面は揃っていて、内容もシナリオが作成された状態で、あとは明細書に展開すればOKという形(その資料から作成できる明細書の誤差範囲は、おのずから知れている)で出すようにしています。
「お任せ」で書いてもらって失敗されたときは、一から自分で書いたほうが早い。でも明細書を作成してもらった以上、それを修正してなんとか形を整えていかなければならないので七転八倒します。
それと「出願した特許は、結局は発明者のもの」というのも大きいですね(その特許に関わる評価は発明者本人に返ってくる)。

あと、あまり知られていないかもですが、特許事務所に所属する弁理士の転職はかなり多いです。IT業界よりは移動が少ないけれど、一般的に見るとかなり多いので「あの時お願いした〇〇先生にお願いしたい」と言っても「既に在籍していません」は「あるある」です。
なので、弁理士の方との面談は一期一会に近いかなと思ったりします。

うまくまとまりませんが、そんな感じですかね。