先月出た、エレコムのUSBオーディオ変換アダプタ(USB-AADC01BK)を解析してみたので書きます。
USBオーディオは、コロナ禍以前では聴くことに主眼がありましたが、今はweb会議などに使える「聞けて話せて」が主流になっていると言えるかと思います。
このエレコムの製品は、その辺も加味して「人の声に特化したチューニング」を謳っており、「中音域を明瞭に伝えるチューニングにより、環境ノイズを抑えたクリアな音声を通話相手に伝えられる」となっています。
周波数特性を測ってみました。
イヤホン自体の特性はフラットであることを想定し、イヤホンに加わる信号の大きさを測定しています。
スマホについてきたマイクつきイヤホン(推定インピーダンス32Ω)を接続して測定すると下図のようになります。
低音域だけでなく、中音域もカットされているように見受けられます。
イヤホンを接続しないで測定すると、下図のような周波数特性になりました。
おそらく、このくらいの特性を出したかったのだと思います。アンプ出力部分について推定すると、たぶん、このようになっていて、回路の抵抗Rとイヤホンが並列となり、特性が崩れると思われます。
ここは、このようにして、
1段バッファアンプを挟んで、イヤホンの負荷の影響が出ないようにするべきではないかと思いました。
中を開けると(開けると保証が適用されなくなるので注意)、C MediaのUSB-DACのみで回路を形成しているようです。
費用の点などを考えると、バッファICを付加することが難しかったのかもしれません。
あと、DACから出力される信号はサンプリングされた信号なので、階段状になります。今回のデバイスでは48kHzでサンプリングしており、アンチエイリアスフィルタなしで出力しているので、10kHzを出力すると下のような波形になります。
参考にStarTechのUSB-DAC、ICUSBAUDIO2Dではフィルタが入っているので、このような滑らかな波形になります。
以上です。